1971年夏。
アメリカ・カリフォルニア州のスタンフォード大学の地下室で、20世紀最悪とも言われる心理実験が行われた。
それは「人は環境によってどこまで変わるのか?」という、純粋な疑問から生まれたものだった…はずだった。
今回は、「人格が壊れる音がした」スタンフォード監獄実験という心理学の悪夢とは?を紹介しよう!
実験の概要
主導者は、社会心理学者のフィリップ・ジンバルドー教授で、被験者は一般公募で集められた、心身ともに健康な男子大学生24名。
この男子大学生24名を、無造作に看守役と囚人役に分け、大学の地下室に作られた模擬刑務所で2週間の生活を強いられた。
報酬は1日15ドルで(日本円にすると約2,300円)、15ドルというのは、夏休みの大学生にとってはおいしい条件だったのだ。
囚人役は実験初日、自宅で本物の警察官逮捕されることからスタートし、指紋採取、撮影、身体検査を経て模擬刑務所に収容。
一方の看守役には、制服・サングラス・警棒が支給され「実力行使は禁止だが、秩序を保つための管理は自由」と伝えられていた。
それはあくまでも「実験」のはずだった…。

まず心理実験が思いつくところがすごいなと思っちゃうな…。
看守役にのめり込む事態に…
最初の24時間は比較的に穏やかだった。
だが、2日目の朝に囚人役が団結して反乱を起こす事態になると、看守たちの様子が一変した…。
- 囚人に服を脱がせ、冷たい床に寝かせる
- トイレの使用制限を設け、バケツを与えるだけ
- 夜通し腕立て伏せを強要
- 「問題児」には独房や暴言で制裁
次第に、看守役の学生たちは「自分が演じている」ことを忘れ、本物の看守のように振る舞い始めた。
囚人たちの間では、食欲不振・不眠・精神的錯乱などの症状が出始め、6日目には人との尊厳が完全に失われていたという…。



これで何がわかるんだろう…
この実験が中止された理由は?
実験は本来2週間の予定だったが、わずか6日間で中止されることに。
きっかけは、実験の様子を見学に来た心理学者のクリスティーナ・マスラックが放った一言だった…。
あなたたち何してるの!?これは研究じゃない…拷問よ!
この一言で、教授自身が初めて「自分も異常な世界に染まっていた」と気付いたという。



クリスティーナ・マスラックはのちに、教授の奥さんになったんだワン!
実験の余波と批判
スタンフォード監獄実験は、心理学界に強烈なインパクトを与えてしまったという。
- 実験の倫理性
- 研究者の関与による誘導
- 科学的再現性の欠如
上記などの批判も集めたんだとか…。
現在では、人権・倫理に反する実験の代表例として、心理学・社会学・法学の教科書に掲載されている。



この状況と役割が個人の行動を大きく左右することがわかったんだね!
いかがだっただろうか
今回は、「人格が壊れる音がした」スタンフォード監獄実験という心理学の悪夢とは?を紹介した。
舞台 | 1971年、アメリカ・スタンフォード大学の地下室 |
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目的 | 人は環境でどう変わるかを調べる |
結果 | 暴力・拷問・精神崩壊が発生 |
現在 | 心理学史上最大のタブーとして語り継がれる |
スタンフォード監獄実験が現代に残した最大のメッセージは
「人は、与えられた環境や権力に応じて、善にも悪にもなれる」
ということ。
現代社会のハラスメント、パワーゲーム、SNSでの集団心理にも通じる、非常に重要な“人間の暗黒面”を暴いた事件だった。
それでは次回のお話で会おう。