「吃音をどうにか治したい…」
そんな純粋な子供たちの願いが、実験材料として扱う狂気と化してしまった実験がある。
1939年にアメリカ・アイオワ州で行われた、心理実験「モンスタースタディ」。
このモンスタースタディは何のために行われたのか、調べてきた。
今回は、言葉を壊された子どもたち…モンスタースタディという心理学の“黒歴史”とは?について紹介する。
モンスタースタディとは?
1939年、アメリカ・アイオワ州の児童施設のバーベル・ホームで起きた。
アイオワ大学の研究者である、ウェンデル・ジョンソン博士が行った実験になる!
目的は「吃音の発生のメカニズムを調べるための心理的実験の研究」というのだ…。
ジョンソン博士自身も吃音経験があり、吃音は心理的要因で起こるのではないか?という仮説を立てていた。
その検証のため、言語障害のない孤児に対して「意図的に否定的な言語指導を施す」という手法をとったという。

これって言語障害がない子にもやったってことだよね…?
実験内容と問題点
モンスタースタディ実験に参加したのは、吃音のある子どもと、吃音のない「正常な話し方をする」子ども22名。
吃音持ちの子、健常な子でグループ分けして実験を行った。
以下に、どうグループ分けしたのかをまとめてみた!
- グループA:吃音児+前向きな言葉かけ
- グループB:吃音児+否定的な言葉かけ
- グループC:健常児+前向きな言葉かけ
- グループD:健常児+「あなたの言葉は変だよ」と繰り返し指導する
このグループDの子に対しては、「今の発音おかしいよ」や「喋らない方がいいよ」という存在しない欠点を刷り込んでいった。
結果、グループDの子供の数人は、本当に吃音症状を発症してしまう事態に陥ったのだった…。
他にも、極度の不安・無口や対人恐怖症など、深刻な精神疾患を抱えてしまう子供が出てきたという。



この実験で得るものって何があるんだ…
なぜモンスターと言われたのか?
この実験が、なぜモンスタースタディと呼ばれたのか不思議に思う人もいるだろう。
当時のアイオワ大学の研究者たちが「この実験は怪物のようだ…」と非難したことに由来する。
正式名称ではないが、倫理的に完全に無視したこの実験。
のちにアメリカ心理学会(APA)や教育界からも「人権を侵害する研究」と糾弾されることとなったんだとか…。
モンスターは怪物、スタディは研究という意味で、モンスタースタディと言われるようになった。



怪物の研究というだけあって、この子達の今後の生活をフルシカトする実験だったんだワンッ
心霊現象よりも“心の闇”の方が恐ろしい
この実験事態には心霊現象はない。
しかし、かつて実験が行われた孤児院やアイオワ大学の一部施設では
- 夜中に子供の泣き声が聞こえる
- 誰もいない部屋でノートが勝手に落ちた
- 走り回る子供の足音が聞こえる
など、人の記憶に由来する怪奇現象が起こると言われている。
これは霊ではなく、消えない後悔や恐怖の記憶そのものなのかもしれない…。



子供達の念があるのかもね…。
モンスタースタディの現在は?
実験に使われたバーベル・ホームは、すでに閉鎖されている。
現在は一般施設に転用されたが、当時の記録は一部残ると言われているのだ。
2001年にアイオワ大学は、実験対象になった子供たちに正式に謝罪し、一部には金銭的補償も行われたという。
現代の倫理基準に照らすと、モンスタースタディは非人道的実験の象徴として、教科書にも記載されている。



62年後に補償されても、その子達は苦しんで生活していたと考えたら胸が痛いよ。
いかがだっただろうか
今回は、言葉を壊された子どもたち…モンスタースタディという心理学の“黒歴史”とは?について紹介した。
「人は言葉ひとつで壊れる」
モンスタースタディが残した教訓は、現代にも深く突き刺さっている。
恐怖とは、目に見えない操作によって作り出されることもあるのだ。
それは幽霊よりも、科学よりも。人間そのものが一番怖いという事実が物語っていると個人的に思う…。
それでは次回のお話で会おう。